「中二病な俺がマリオを実況するとこうなる」 を中二病な文章で小説化するとこうなる
 
 原作動画:ともゆき アレンジ/執筆 Anko
 
 
 人は何かを得るために生を受け、成し終えたとき死んでゆく。
 そして、風がまた僕を運んでくれる。
 
 永遠なる炎の使い手―ヨハン・シャドウグレイ
 
 
 誰だ・・・?
 私を再び目覚めさせようとする者は・・・。
 
 目を覚ますと、見たことも無い世界が広がっていた。
 
 「くっ・・・」
 最初に感じたものは痛みだった。
 天界とは違う空気に、まるで肌を切り裂かれるような感じがした。
 
 私の名はヨハン・シャドウグレイ。
 世界の欠片を旅する男だ。
 といっても、ヨハンという名が真名であるかどうか何て、とうの昔に忘れた。
 
 しかしこの世界は一体・・・?
 天界とまるで違う世界なのに、どこか、故郷を思い出す。
 それでいて、何か故郷と違うような・・・。
 
 「さて・・・行こうか・・・」
 
 まずはこの世界の事を知ることが重要だ。
 今感じて分かるのは、天界に居たときよりも力が出ない事くらいだろうか。
 これはどの世界でも同じことだ。
 どうやら・・・人間界の空気はあまり肌に合わないようだ。
 
 次に、この世界のルールを知ることだ。
 どの世界にも、必ずルールが存在する。
 ルールというのは、簡単に言えば世界の構成のことを指す。
 例えば、地面を移動するのが人間の移動手段だが、天界では、雲を移動するのが移動手段だったりだとか・・・。
 とりあえず確定している事は、人間界だということ。
 これはある程度の世界の構成要素の一つだ。
 逆に、天界のような構成が特殊だと言える。
 
 
 今分かることはこれくらいだ。
 さて・・・とにかく先へ進もう。
 
 世界の入り口で考えていても埒があかない。
 
 少し進むと、あまりにも不自然な色をしたブロックがいくつも宙に浮いていた。
 「これは・・・?」
 七色に薄らと輝くブロック。
 
 これがこの世界に存在する特別なルールなのだろうか。
 私はそのブロックを叩いた。
 
 ・・・横から叩いても変化無し。
 次は下からだ。
 「・・・!」
 下から叩くと、不気味な色をしたキノコがブロックから現れた。
 キノコはブロックから現れると、滑るように辺りを移動している。
 
 私は、その不気味な色をしたキノコに触れてみることにした。
 キノコを追いかけているうちに分かったことだが、移動中に障害物に触れると、そのキノコは向きを逆に変えて移動する特性があるようだ。
 ようやくキノコに触れる。
 
 「・・・僅かだが・・・力が戻っている?」
 失われた力が少しだけ戻るような感覚を覚えた。
 「気のせいか・・・?」
 力が戻ったことを確証するには、まだ至らなかった。
 
 「隣のブロックを叩いてみるか・・・」
 一度だけでは確証はできない。だから私はもう一つのブロックを叩いた。
 次にブロックから現れたのはキノコではなかった。
 
 現れた物・・・それは私もよく知る物だった。
 「あれは・・・!サラマンダーの鍵・・・?」
 
 これは、私の一族だけが使える伝説の技・・・エターナルファイアーの鍵となるもの・・・。
 500年前の戦いで封印されたはずだが・・・。
 
 「面白い・・・永遠なる炎の使い手が名において命告ぐ!サラマンダーよ。再び私に永久の業火の力を・・・!」
 みなぎる赤き力。
 それは人ならざるものにしか扱えぬ伝説の技・・・。
 
 それがすべてを焼き尽くす永久の業火・・・エターナルファイアーだ。
 「全く・・・おかしなものだな。運命とやらは」 
 
 予想外の事もあったが、この世界について大まかに理解することが出来た。
 はじめに、基本構成は人間界であること。
 次に、謎のブロックを下から叩く事で未知なる力を得ることが出来る事。
 最後に、サラマンダーの鍵がこの世界にあるという事は、我が一族と深く関係のある人物が存在する可能性だ。
 
 まだ未知なる事は・・・とても数多く存在する。
 先に進むことで、分かるのだろうか?
 どうにも、それ以外に手段は無いわけだが。
 
 
 何か気配を感じた。
 何者かがにじり寄るような、そんな気配が。
 「まどろっこしい・・・出て来い」
 反応はもちろん無い。
 だが、私は刹那の隙といえど見逃さない。
 
 
 「そこだ・・・!焼き尽くせエターナルファイアー・・・!」
 辺りを焼き尽くす永久の業火。
 
 その炎の先には黒こげになった未知の存在。
 外見は、先ほどのキノコに似た形。
 だが本能的に分かったことは、コイツは敵であるということ。
その先を進むことで分かったのだが、敵は他にも存在した。
 少なくともこの場所には、このキノコのような化け物と、亀のような化け物の二種類。
 恐らくこの先を進むことでさらに種類は増えるだろう。
 
 この場所にはこれ以上の情報はもうないだろう。
 エターナルファイアーを使い、道を進むと私は出口なようなものを見つけた。
 
 中に入ると、暗闇に飲み込まれた。
 「くっ・・・!」
 もがくことも出来ない、深い暗闇。
 
 この世界は一体・・・?
 
 意識が遠のいていく。
 
 私は・・・どうしてこの世界に・・・?
 
 全身に力が抜けて、瞼をゆっくりと閉じた。